人間には、切り返したいという思いが常にありますが、それを拭い去れるようにならないと、プロとは言えません。
大きな企業で、コールセンターに長く勤めている方なども、常時イラつきを抱いています。「一度でいいから言い返したい」と、アンケートに答えてくれた正直者もいました。
お気持ちはわかりますが、その考え方ですとやがてメンタル面を病むことになります。
「あなたのためです」
新製品の試食販売をしているベテラン社員なら、どう答えるでしょう。さすがに皮肉は言いません。
「小分けにしないの?」に対しては、「サービスの袋は、お客様に入れていただいています。また、大袋に入れたものを、ご自宅で小分けにして相手方に持参すると、袋に折り目も付かずきれいに見えますので、お客様のタイミングでお分けいただくのが最良と考えます」と言って、会話を切るのです。
暗にあなたのためです、と押し返すのです。
時代が大きく変わったこの10年、ビニール袋に限らず買い物の持ち帰り袋はほぼ有料になっています。
しかし、先に紹介した常連客は、意地を悪くしたら、新人アルバイトに「個別に入れないの」と言ったことでしょう。ベテラン社員は、大切な顧客に対し粗相がないように見守っており、いつでもバトンタッチができる状態にしていました。
もし何かあれば、やんわりと「こんにちは」と、入る準備をしていたのでした。
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