「あら、有料なの?」些細な一言が豹変の引き金に…クレーム対応のプロが語る「対応の正解・不正解」

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ある日のこと、ベテラン社員が新商品の試食販売をしていました。するとその方が来て、「それは知っている、すでに食べた」と言います。

今日発売されたばかりなので、そんなはずはないのです。ベテランが新製品の細かなポイントを説明していくと、返事がないことに不快感を持ったのか、「何をへらへらしているの」と言いました。

その社員も商品知識、接客業に長けておりますので、そのまま説明を続けます。客は再度、「何でそんなにへらへらしているのか」と突っかかります。社員は「いえ、へらへらはしておりません」と、柔らかく否定します。

これは、客の性格を知っているからできることです。

このようなことは稀にあることで、常連とベテランならではのやりとりとでも言うのでしょうか、周りで聞いている者からすると客を無視しているように見えますが、この常連客も会話自体を楽しんでいることがあるようです。

「あら、有料なの」

やがて、常連客は目的の品物を選んで、カウンターの販売員に会計を依頼しました。

その販売員は、まだ2カ月目のアルバイト。常連客は2品で5点ずつ計10点を購入、近所の知り合いにあげると会話をしています。先ほどのベテラン社員は、粗相がないようその経緯を注意深く横目で見ながら、新製品の説明をしていました。

お支払いの段になり、「4軒に配りたいの」というお客様に、アルバイトが「小分けの有料袋はご入用(いりよう)ですか」と、問いました。

「あら、有料なの」と返事。

「はい、1枚10円です」

これは、店舗名が入った贈答用の袋です。「いつもは、無料なのに」と、言う言葉に「あっ、ビニールの小分け袋でしたら、無料です」。

「それに入るでしょう」とお客様。

このやりとりを見ていたベテラン社員は、出る幕ではないと察し、見守りを続けました。

ただ、社員が商品をそのビニール袋へ個別にセットすることはしません。それは、無料の袋に詰めるという、時間のロスを避けるためです。大きな袋に10点の品と、小分け用ビニール袋4枚を入れてお渡しします。常連は、さすがにその店の販売員の行動を知っていますから、文句も言わず受け取り帰路につきました。

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