実は、このちょっとした会話「あら、有料なの」が、カスハラの入り口にもなるのです。知っているのに小分け袋をくださいと言う。無料の小分け袋をくださいとは言わない。
社員がもし、知らずに「有料になります」と言ったとしたら、どんな会話が続くのでしょう。客は「無料のはないの」と尋ね、そこで気づけば、または、他の社員に聞けばこともなく終わります。
ところが「ありません」と言ってしまったなら、「あなたは、知らないの。本当はあるのよ、未熟ね」と非難するに至ったのではないかと察します。
このやりとりから、たくさんの、「もし」が生まれます。そしてそれぞれの「もし」には、それ専用のうまい対応があるのです。
「うまい対応」とは?
仮に「以前来たときは、小袋は無料でしたよ」と言われたとします。「失礼いたしました。小袋は無料と有料がございます。贈答には有料袋が使われることが多いようです」と言った場合、顧客には嫌味に聞こえるでしょう。あとの言葉が蛇足です。
もう一度、返事をしてみましょう。
「以前来たときは、小袋は無料でしたよ」「失礼いたしました。小袋は無料と有料がございますが、大切なご贈答には有料袋をお勧めしています」と言えばどうでしょう。
その贈られる先の方との関係も知らずに、私を貧乏人扱いしたと感じ、攻めが始まる可能性があります。
この場合、「失礼いたしました。無料の小袋もございます」で、何も言わないのが正解なのです。
「贈答には、有料の袋を……」の言葉でイラッとしたお客様が、販売員の規定の動作に、「あら、無料の袋には、小分けにして入れてくれないの」と、カスハラを始めます。
この方は常に複数の買い物をしているので、販売員が小袋に小分けにしないことは知っていますが、売り言葉に買い言葉とでもいうのか、まずい展開になります。
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