定説を覆した醸造家が再び挑む"甲州の奇跡"

日本固有の甲州種で目指すワインの革新<下>

世界屈指のコンクールで金賞を受賞した女性醸造家、中央葡萄酒の三澤彩奈さん
山梨県の韮崎駅からバスで20分。日本一の日照時間を誇る明野という地に、中央葡萄酒が運営する広大なブドウ畑広がる。そのうちの3分の1は、日本固有の甲州種ブドウの樹。このワイナリーには、アルコール分が低く、本格的ワインには向かないとされてきた甲州種ブドウを使い、世界屈指のコンクールで金賞を受賞した女性醸造家がいる。
三澤彩奈――フライングワインメーカーとして世界を巡った女性と甲州種ブドウの物語。その後編。


前編:「女性醸造家、渾身のワインで世界を驚嘆させる

世界のほとんどの地域でワインを造っていることすら知られていない日本も、南アフリカと同じように新しい試みをしなくてはならない。

そう実感した彩奈は、決意する。「フライングワインメーカーとして、新世界を巡ろう!」

北半球と南半球を往復

ブドウの収穫と醸造の時期は、北半球と南半球で異なる。日本を含む北半球は9月から11月にかけて、南半球は3月から5月にかけて、どちらも秋に行われる。フライングワインメーカーとは、修行のために北半球と南半球を渡り歩き、1年に2回、異なる場所で醸造を経験する醸造家を指す。

2007年、26歳のときに南アフリカから帰国した彩奈は、翌年の春に訪れたニュージーランドを皮切りに、毎春、オーストラリア、チリ、アルゼンチン、南アフリカのワイナリーを訪ねて、現地で3カ月間働いた。

世界は、刺激に溢れていた。

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