2007年7月10日、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地AT&Tパークでメジャーリーグのオールスターゲームが開催された。8年以上前の話だが、この試合を記憶している人も少なくないだろう。
当時マリナーズのイチローがアメリカンリーグ1番センターで先発出場し、オールスター史上初のランニングホームランを含む3打数3安打2打点の大活躍で、日本人初のMVPに選ばれた。
もう1人の日本人
この試合にはドジャースの斎藤隆、レッドソックスの岡島秀樹も参加していたが、もう1人、若干24歳の日本人がフィールドに立っていたことはあまり知られていない。
AT&Tパークは、設計時にブルペンを付け忘れたという逸話が残るスタジアムで、ブルペンはファウルゾーンにある。そこで、ブルペンキャッチャーとして名だたる投手の球を受けていたのが、植松泰良だ。
日本でプロ経験もない若者が、この日、この場所にいた理由は後ほど明らかにしよう。
この日、初めてメジャーのフィールドからお客さんでいっぱいのスタンドを眺めた植松は、4万人を超える観客の熱気を全身で受け止めて、ただただ圧倒されていた。目の前で繰り広げられるトップクラスのメジャーリーガーのプレーに、胸の高鳴りを抑えられなかった。ブルペンでは、メジャー屈指の投手の、あまりのコントロールのよさに舌を巻いた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら