お金は「すぐもらえる」ほど「価値が高くなる」訳 将来を見据えて行動するための考え方を学ぼう

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こうしてキャッシュフローに置き換えて考えることは、ビジネスの意思決定にとって重要です。

例えば、この牛が市場で200万円で売られていたならば、買わないほうが賢明でしょう。というのも、この牛から将来にわたって得られる利益が150万円なのに、それを200万円で買うのは損だからです。

NPV法マスターへの道②

牛から総額150万円のキャッシュフローが得られることがわかりました。では、この牛が市場において150万円で売られていたら、妥当な価格といえるのでしょうか? 答えは「ノー」です。

なぜなら、150万円が今すぐに手に入るわけではなく、5年間を待たないと全額は手に入らないため、その分の“不便さ”を考慮して価値を割り引いて考えなければならないからです。

なぜ、すぐに入ってこないお金を“不便”と考えるのかといえば、手元にないお金は投資に使えないからです。お金とは本来、単に銀行に預けておくだけでも増えていくものです。

仮に手元に150万円があって、それを預金金利1%で銀行に預けておけば、1年後には1万5000円の利息が得られます。もっと利回りの高い運用商品に投資すれば、もっと増やすことができるかもしれません。

つまり、現在手元にあるお金は、貯蓄や投資によって増やしていくことができるので、将来得られるお金よりも価値が高いのです。

では、数字の変化がわかりやすいように、預金金利を仮に5%としてみましょう。手元にある150万円を預けると、1年後には7万5000円(=150万円×5%)の利子が振り込まれて157万5000円になります。

さらに2年目も預けておくと、7万7875円(=157万5000円×5%)の利子が振り込まれて165万3750円になります。この調子で5年間預けておくと、191万4422円になります。

つまり、預金金利が5%の世の中では、単に銀行にお金を預けておくだけで、150万円を5年間で191万円にできます。もちろん、現実の金利がこの例より高くても低くても、基本的には同じ考え方を当てはめることができます。

以上のように、預金金利が5%の世の中では、今の150万円と、5年後に得られる191万円は同じ価値を持つと考えることができます。見方を変えれば、5年後に得られる191万円は、現在手元にあるお金で換算すると150万円分の価値しかないということです。ということは、同じ金額であれば、早く手に入るほど価値が高いということになります。

お金は「手に入るタイミングが早い」ほど、「価値が高くなる」という考え方を学びました。

そこで、「将来得られるお金の価値」を、「現在手元にあるお金の価値」に換算して測ってみます。そのためには、キャッシュフローの金額を、先ほどのような手順で割り引くことで、現在手元にあるお金の価値に換算します。

このように、「キャッシュフロー」を「現在手元にあるお金の価値」に換算した値のことを、キャッシュフローの「割引現在価値」と呼びます。「割り引くことで現在手元にあるお金に換算した価値」という意味です。

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