お金は「すぐもらえる」ほど「価値が高くなる」訳 将来を見据えて行動するための考え方を学ぼう

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このように、人間(や動物)はどうしても目先の利益や快楽を優先してしまう性質があるようです。普段はそれほど困らないかもしれませんが、ビジネスではそうもいきません。企業は、5年後や10年後を見据えて行動しないと競争に勝てないからです。

新しい技術に早いうちから目をつけて、将来の事業化のために投資するなど、先を見据えた思考や判断が必要になります。そこでビジネスの世界では、将来を見据えて行動するための考え方のフレームワークが使われています。そのうちの代表的なものの1つが「NPV法」です。

NPV法とは、正式にはNet Present Value法といい、日本語に訳すと「正味現在価値法」となります。その投資の「コスト」と「利益」を比較して、正味でどれくらい価値がある投資なのかを考える方法です。

平たくいえば、投資の利益がコストを上回るかどうかを予想し、その投資をやるべきか否かを判断します。企業のプロジェクトの実施可否の判断や、M&Aの意思決定などに使われますが、お金の使い方を考えるうえで役立つ発想が散りばめられているので紹介したいと思います。

NPV法の発想 ~予算獲得はストーリーが大切~

NPV法は通常、複数のプロジェクト案があるときに、どれを採用するかを決めるための判断材料の1つとして使われます。プロジェクトAとプロジェクトBがあるとしたら、それぞれの「コスト」と「利益」を見比べて、どちらが魅力的かを判断するということです。もちろん、候補のプロジェクトが3つ以上の場合も対応できます。

以上が一般的な使われ方ですが、実はそれだけではなく、財布のひもを握る人にお金を出してもらうために「未来に目を向けさせる」という隠された役割もあります。

例えば、ある商品を製造するための機械の購入を計画しているとしましょう。その機械は1億円で、購入のために社長の決裁が必要です。そこで社長に説明にいくと、「こんなに高い機械、買えるわけがないだろう!」と一蹴されてしまいました。

さて、社長を説得するために、みなさんならどうしますか?

社長はおそらく、1億円という目先の費用の高さに驚いたのでしょう。しかし、1億円の投資が将来の利益を生むのであれば、その利益も含めて投資の価値を判断する必要があります。

仮に、「この機械は商品Aの製造に使われ、商品Aを売ることで得られる利益は年間5000万円の見込みです。ですので、機械の購入コストは2年間で回収でき、その後は利益が積み上がります」という説明をすれば、社長の受ける印象は変わるでしょう。

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