また、提供スピードも難題だった。
筆者がタッチパネルで注文した際、ホールケーキは約5分程度でやってきた。あまりの速さに作り置きをしているのだと思ったが、違った。売り上げ予測に合わせ、スポンジにクリームを挟んだ「土台」は用意するものの、トップのクリームやフルーツは注文が入ってから盛り付けるそうだ。

さらにプリンとちらし寿司は、一から作っているという。パティスリーではなく回転寿司店の厨房でこれを実現するのは、相当大変に違いない。

「プレゼントシステムの金額は、プリンが800円、ホールケーキとちらし寿司が1000円と、平均的な客単価と変わらない価格です。めちゃくちゃ売れるものではないので可能になっています」と広報部 辻明宏さんは解説する。
回転寿司は「ゆっくり楽しむ」空間に
加えて、このような「客単価とほぼ変わらない商品」が登場する背景には、くら寿司がエンタメ性を追求しているだけではない、業界全体の在り方の変化があるという。
ここ10年で回転寿司は、「安価な均一価格で提供し、回転数を上げて儲けるファーストフード」ではなく、「ゆっくり楽しむレストラン」に変わってきているそうだ。

たしかに、最近はどの回転寿司チェーンでも、「回らない寿司店」にあるような「高級ネタ」が並ぶようになった。くら寿司の場合、辻さんが入社した20年前は全メニューで約40種だったが、今では約160種に増加した。まさにレストラン並みの数だ。
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