再エネ発電の急拡大は、中国のカーボンニュートラル達成に向けた前向きの成果であると同時に、電力システムに難しい課題ももたらしている。
その象徴と言えるのが、太陽光発電の出力抑制(訳注:送電網の能力不足や電力需給のミスマッチに対応するため、太陽光発電の出力を絞る操作)の問題だ。砂漠地帯での相次ぐギガソーラーの建設や、都市部のビルの屋上に設置する分散型発電設備の増加により、太陽光発電による(ピーク時の)電力の消化がますます困難になっている。
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太陽光発電や風力発電は(気象条件によって)出力が大きく変動するため、発電規模がここまで大きくなると、(火力発電所の出力制御を含めた)電力システムの調整だけでは対応しきれない。この状況を打開するには、電力取引市場の改革や二酸化炭素の排出権取引制度の活用など、新たな取り組みが必要だろう。
電力消費地では火力増設も
中国の電源構成全体を見ると、最も比率が大きいのは現在も火力発電だ。2024年末時点の火力発電の設備容量は14億4400万kWと、発電設備の総容量の43%を占めた。
注目すべきなのは、2024年の火力発電の設備容量が前年比3.8%の増加を記録したことだ。
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再エネ発電の急増により中国全体の発電能力は電力需要を上回るが、地方や時間帯による需給のミスマッチはむしろ拡大している。そのため、広東省や江蘇省などの電力の大消費地では、火力発電所の増設が続いているのが実態だ。
2025年の中国の電力需要について、BNEFは前年比6.5%の増加を予想している。これは2024年の伸び率(6.8%)を若干下回る数字だ。電力業界にとっては、電力需要が全体として安定的に増加する中で、再エネ発電と火力発電のバランスをいかに調整するかが問われることになる。
(財新:趙宣)
※原文の配信は1月22日
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