最近すっかり聞かなくなった《メタバース》に今さら参入した三菱UFJ銀行、「あっ!なるほど」と思わず声が漏れた"狙い"の深層

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「MUFG Bank Metaverse」の入り口付近。高輪出張所を模した建物と緑豊かな環境で、従来の銀行のイメージとは異なる親しみやすい空間作りを重視している(画像:筆者撮影)

アバターを操作してバーチャル空間に入ると、応接室で銀行員が待っていた。自分の名前も連絡先も明かすことなく、金融について何でも相談できる――。

三菱UFJ銀行が7月7日にリリースした「三菱UFJ銀行メタバース」は、従来にはなかった新しいサービスだ。一時「オワコン」とも揶揄されたメタバース空間。なぜ今、メガバンクがこの分野に参入するのか。その謎を解くカギは、金利復活による銀行業界の構造変化にあった。

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完全匿名での金融相談が可能

メタバースが脚光を浴びたのは2021年頃。メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOが社名変更まで行い、「メタバース元年」と呼ばれた。だが期待ほど普及は進まず、最近では話題に上ることも少なくなっている。

そんな中で三菱UFJ銀行が始めたサービスの内容は興味深い。URLをクリックしてメタバース空間に入ると、9月開業予定の高輪出張所を模した建物が目の前に現れる。内部には銀行の商品パンフレットや案内動画が展示され、アート作品を鑑賞できる役員室のような空間もある。迷路やクイズといったゲーム要素も用意されている。

最も注目すべきは「アバター行員とのバーチャル相談」だ。事前予約すれば、応接室でアバターの銀行員と1対1で面談できる。名前も連絡先も明かす必要がない完全匿名での金融相談が可能で、周囲から遮断されたプライベート空間が確保される。

金融機関がここまで本格的なメタバース空間を構築するのは珍しい。なぜ今、三菱UFJ銀行はこの分野に参入したのだろうか。

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