活況に沸く「中国造船業界」、生産能力を再び増強 世界の新造船受注の7割を獲得、受注残は5割増

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中国の造船会社は大量の受注残を消化するため、生産能力の増強を急いでいる。写真は民営造船大手の象嶼海洋装備の造船所(同社ウェブサイトより)

世界の造船需要が大きく増加している。イギリスの海事情報会社クラークソンズ・リサーチが1月上旬に発表した年次レポートによれば、世界の造船会社が2024年に受注した新造船は約2400隻、建造工事量の指標である標準貨物船換算トン数(CGT)ベースの受注量は約6580CGTと前年比34%の増加を記録した。

この受注量は2008年のリーマンショック以降の最高記録であり、全体の7割を中国の造船会社が引き受けたという。

中国の造船業界の活況ぶりは、中国国内の統計数字にも表れている。中国船舶工業協会のデータによれば、国内の造船会社による2024年の受注量は(貨物船の最大積載量を表す)載貨重量トン数(DWT)換算で1億1000万DWTと、前年比58.8%増加した。

閉鎖された造船所を再稼働

一方、中国の造船会社による2024年の竣工量は4818万DWT、前年比の伸び率は13.8%にとどまり、受注の急増にまったく追いついていない。その結果、2024年末時点の受注残は2億1000万DWTに達し、前年末比5割も膨らんだ。

中国の産業界には(鉄鋼や太陽光パネルなど)生産能力の過剰に悩む業界が多いが、造船業界は例外だ。国内の造船所はどこも大量の受注残を抱え、逼迫する生産能力の増強を急いでいる。

例えば民営造船大手の象嶼海洋装備は、2018年に実質経営破綻した江蘇省の造船会社、宏強船舶重工の生産設備に目をつけ、2024年8月に競売にかけられた主要資産を4億4000万元(約94億円)で落札した。

業界関係者によれば、この買収を通じて、象嶼海洋装備の造船能力は(買い取った生産設備の再稼働後に)5割以上拡大するという。

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