石油化学大手の恒力集団は、傘下の造船会社の恒力重工が遼寧省大連市に持つ造船所の拡張を進めている。
同社は2022年7月、韓国のSTX造船海洋が大連に建設した造船所(訳注:2015年に経営破綻)の跡地を取得し、翌年に再稼働。さらに110億元(約2350億円)を追加投資し、年間生産能力を710万DWTに引き上げる。
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民営造船大手の新時代造船、揚子江船業、新韓通船舶重工なども、造船ドックの新規建設に着手した。それらのうち、揚子江船業の新設ドックには(超大型タンカーも建造可能な)30万DWT級の大型ドックが含まれる。
中国政府も造船業界の設備増強を後押ししている。国家発展改革委員会は2009年に(当時の過剰設備を削減するため)中断した造船会社の生産能力拡大計画の審査を15年ぶりに再開し、許可を増やす方針に転じた。
需要急増の裏に想定外の要素
目下の造船業界の極端な生産能力不足は、供給面と需要面の要因が重なった結果だ。まず供給面では、2008年から10年余り続いた造船不況で多数のドックが閉鎖に追い込まれ、生産能力が大幅に縮小した。
浙商証券の調査レポートによれば、2024年初時点で稼働中の造船所は全世界で368カ所と、2008年に比べて6割以上減少。中国国内で稼働中の造船所も最盛期より66%減少した。
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その一方、需要面では老朽船の更新や環境規制に対応するための新造船の発注が増えていたタイミングに、想定外の要素が加わった。財新記者の取材に応じた外資系海運コンサルティング会社の幹部は、それを次のように解説した。
「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や(ウクライナや中東地域での)戦争勃発の影響により、海上物流が世界的な混乱をきたした。その結果(主要航路の所要日数が長くなるなど)船舶の輸送効率が低下し、輸送力不足を補うための新造船の需要急増につながった」
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は1月24日
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