電力やメーカー参入!急成長「系統用蓄電池」とは 政策の支援で新市場が出現、太陽光と相乗効果

「系統用蓄電池」(系統用蓄電所)という電力ビジネスが注目を集めている。
2024年12月1日、関西電力(関電)とオリックスは和歌山県紀の川市の山間部で「紀の川蓄電所」の運転を開始した。
関電の大規模変電所に隣接する約8000平方メートルの敷地にリチウムイオン蓄電池を収納した20フィートサイズのコンテナ64個を設置。その出力は48メガワット(4万8000キロワット)、容量は113メガワット時(11万3000キロワット時)と、いずれも全国最大規模だ。関電によれば、約1万3000世帯の1日の消費電力を賄うことができるという。
東日本大震災、東京電力・福島第一原子力発電所事故後の2012年にスタートした再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度(FIT)により、太陽光発電は全国規模で導入が拡大。太陽光発電を主軸とした再エネは2050年カーボンニュートラル社会における「主力電源」と位置づけられるようになった。
ただ、太陽光発電は天候に左右され、発電量の変動が大きいことから、その変動をカバーする「調整力」として蓄電池の役割に期待が集まるようになった。
「発電事業」に位置づけ、国が導入を促進
蓄電池は電力を貯めたり、放電したりする機能を持つ。そのため日射量が多く、太陽光発電が多く稼働する昼間に余剰となっている電力を貯め、需要の多い夕方や夜に放電するといった運用ができる。
電力系統ネットワーク(送電網)に接続する系統用蓄電池のうち10メガワット以上のものから放電する事業は、2022年の電気事業法の改正で「発電事業」と位置付けられ、厳しい規制とともに強力な導入支援策が打ち出された。
それまでの国や東京都などの補助金による支援策に加え、2023年度には「長期脱炭素電源オークション」という新たな制度が設けられ、系統用蓄電池もその支援対象とされた。
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