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チリの再エネ拡大政策を分析、「再エネ投資促進」のカギを握るのは市場統合だ。発電費用と電力価格の低下だけでなく、新規電源への投資促進も

(写真:y.u-stable/PIXTA)
CO2(二酸化炭素)を排出しない再生可能エネルギーを効果的かつ経済的に拡大することは、気候変動に対応するうえで最も重要な課題の1つだ。電力部門は運輸部門と並び、温室効果ガス排出の最大のシェアを占めている。近い将来、電気自動車の普及により運輸部門の大部分の電化が予想されるため、発電の脱炭素化は不可欠であるといえる。
しかし、既存のネットワークインフラ(送電網)がもともと再エネを想定して構築されてはいないため、多くの国で再エネの拡大が行き詰まっている。火力発電所に代表される従来型の発電所は、大都市などの需要地に比較的近い場所に設置できたため、需要と供給をつなぐ送電網は最小限で済んでいた。他方、太陽光や風力などの再エネは、需要地から遠く離れた場所に発電の適地がある場合が多い。
従来型の電源を想定した送電網インフラでは再エネの需要と供給をうまく結べず、空間的に市場の分断が生じる現象が世界各地で起き始めている。
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