都心タクシー「プチバブル」早くも終焉の業界事情 稼げる状況に転職者が一時殺到も事業者側が苦境に

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「全日本交通運輸産業労働組合協議会」が、月1回以上タクシー利用のある1053名(首都圏在住、20~60代の男女)を対象としたインターネット上での意識調査によると、1位「アプリで予約する・呼ぶ」40.6%が、2位「流しを捕まえる」26.0%、3位の「タクシー乗り場に行く」16.4%を上回る結果となった。

業界が注力してきたアプリ配車による効率的なタクシー利用は一定の効果をもち、ユーザーにも浸透しつつあるという1つの指標だろう。

忘年会シーズンに赤坂見附からタクシーに乗車すると、ドライバーからはこんな声も聞かれた。

「去年の良い時期と比べると、売上げは8、9割という感じです。以前はアプリだけで埋まっていたのが、ずいぶん駅待ちをするような車両も出てきており、それだけ台数が増えたということ。去年のようにずっとお客さんを乗せっぱなしということはなく、流しの車両も戻ってきています。給与面では昨年よりも1、2割ほど落ちていますね」

昨年頃まではタクシー不足で1台当たりの売り上げは一気に増えたが、供給が回復してきたことで、早くもドライバーの給与には調整圧力がかかり始めているようだ。

ドライバーの採用コストが跳ね上がる

経営の観点からも、他業種からの転職組も増えたことで、市場に“うま味”が生まれ、採用エージェントが多く入り込んでくるようにもなった。そのことが人件費高騰にも繋がりつつある。都内の中堅タクシー会社の採用担当者がこう説明する。

「今は1人当たりの採用単価が200万円ほどになっている。これはコロナ前に比べると10倍近い金額。それでも運送業やバスから転職が相次いだのは、単純にタクシーが稼げるタイミングだったからです。今は資金力がない会社が採用戦線で戦うのは厳しくなってきており、中小は稼働台数を増やせないという悪循環にも陥っている」

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