都心タクシー「プチバブル」早くも終焉の業界事情 稼げる状況に転職者が一時殺到も事業者側が苦境に

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タクシーの値上げについては、基本的に都心部発で行われることが多い。今回の端緒も、2022年11月に東京特区・武三地区で値上げが実施されたことによるものだ。既に業界内では、さらなる値上げについて議論されている。

12月の消費者委員会の会合では東京特区・武三地区の値上げについての検証が行われ、「検証」という結果に留まったが、おそらく近い将来次のステップへと向かっていくことになるだろう。大阪などでも値上げの議論はされているが、「運賃を上げることが利用者の反感につながる可能性がある」「離脱による乗務員確保に問題が起きる」という指摘もある。

都心部の1台当たり売り上げは一時急増

2023年は都心部の現場ドライバーたちにとって、ちょっとしたバブル状態だった。タクシー不足や、初乗り運賃の改定などを背景に1台あたりの売り上げを大きく伸ばした。

東京都ではタクシー乗務員の平均年収(男性・推計額)が586万円と、2022年から160万円上昇。全国平均でみても、57万円増の420万円になった。これを受けて、運送業やバス、トラック業などからの転職者も相次いだ。

結果的にドライバーはここ2年ほど増加傾向にあり、巷で騒がれたタクシー不足はいくぶん解消されてきている。長年業界を取材してきた私の感覚でいっても、2022年、2023年に聞かれたタクシー不足の現状は、今年の夏頃からは少なくとも都心部では徐々に聞こえてこなくなった。その理由の1つに、利用者側の意識の変化もある。

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