2025年の通信業界を占う「楽天モバイル」の動向 大躍進の勢いは続くか、真価が問われる1年に
もっとも、2024年は個人向けにも傾注し、祖業の楽天市場を泥くさい営業で成功させた会社の底力を示した。子供や学生、シニアと年齢層に応じたさまざまなポイント還元プログラムなどを導入。楽天モバイルを勧誘する広告が印刷された名刺を社員が配るなりふり構わない営業が目立ち、三木谷浩史会長兼社長自らもトップセールスに余念がなかった。
2024年1~9月に競合からの乗り換えで獲得したB2Cの純増数は41.7万に上り、楽天の奮闘ぶりには競合他社からも驚きの声が上がる。
近づくモバイル黒字化
では、モバイル事業の赤字はいつ解消されるのか。
楽天は同事業について、2024年にEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)ベースで「単月黒字化」の達成を目標としていた。キャリアの通信利用収入は、基本的に「契約回線数×ARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)」で決まる。損益分岐点を超えるには、800万~1000万回線と、ARPUで2500~3000円の双方の実現が必要だと見込んでいた。
回線契約は目標を達成するペースで増加していたが、ARPUは2000円前後で停滞する状態が続いた。利用単価が低いとされる法人向け契約の急増がARPU上昇を抑える要因になったとみられ、夏ごろからは目標の達成は困難との見方が広がっていた。
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