楽天が手を伸ばす「お試し割」というパンドラの箱 通信業界は嵐の前の静けさ、市場が荒れる懸念も
業界全体を巻き込む渦を起こしかねない「パンドラの箱」は、いつ開かれるのか――。
携帯キャリアが、通信回線の新規契約者に期間限定で料金を値引きする「お試し割引」制度が2024年12月26日、解禁された。端末販売とセットではない新規通信契約を対象に、最長6カ月、上限2万2000円(税込)の値引きが可能になる。ユーザーは1事業者につき1回のみ割引を受けられる。
従来こうしたお試し割引は、利用者の囲い込みにつながるとして総務省が禁じていた。キャリア事業に後発で参入した楽天モバイルが「新規顧客獲得に向けた乗り換えのきっかけを提供したい」と見直しを要望し、電気通信事業法の関連ガイドラインが改正された。
楽天は「通信サービス半年無料」を例示
解禁後、キャリア4社はまだ具体的な動きを見せていないが、少なくとも制度改正のきっかけを作った楽天は早い段階で、お試し割引導入に踏み切る可能性が高い。
楽天は利用データ量に応じて料金が変動する単一のプランを提供しており、最も高いデータ無制限の料金は月額3278円(税込)だ。半年無料にしても、ちょうど条件に収まる計算になる。
実際に楽天は過去の総務省有識者会議で、「6カ月間の通信サービス無償体験または全額ポイントバック」といった施策を例示しており、「新規契約者は半年無料」などのうたい文句で導入することが想定される。新規獲得を急速に進める楽天にとって、NTTドコモなど競合キャリアからの乗り換えを促す新たな「武器」になりうる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら