こうした離職を防ぎ、若手社員の定着を図るために「オンボーディング」に力を入れる企業が増えている。
「オンボーディング」とは、新しく入社した人が会社の業務や組織風土に早く慣れるようサポートする活動全般を指す。これにより、社員の早期の「戦力化」を図るとともに、離職防止や職場への定着を促進することを目的としている。
会社を辞めるのは悪いことなのか?
しかし、前提として昨今の若手社員が置かれている状況や、抱えている不安を理解しなければ、オンボーディングは成功しない。オンボーディングについて語る前に問いたいのが、「会社を辞めるのは果たして悪いことなのか?」という点である。
昔から、「石の上にも三年」「置かれた場所で咲きなさい」という言葉がよく使われてきた。両方とも、企業にとっては使い勝手のいい言葉だろう。ただ、今の若手社員はどう受け止めるだろうか。
近年、採用・転職関連の新サービスが続々と登場し、企業と応募者、双方の選択肢が広がっている。選択肢が増えるのは良いことのように思えるが、問題もある。選ばれる個人と、選ばれない個人の「二極化」が進んでいくのだ。
選ばれる個人は引く手あまたとなる一方で、選ばれない個人はとことん選ばれない。また、一旦選ばれても、入社後はすぐに社内での競争がスタートする。
「終身雇用」はもはや古めかしい言葉となり、社会人人生を最後まで保証してくれる会社はほとんど見当たらない。保証がない中で、「選ばれ続けること」に真剣に向き合っているのが昨今の若手社員なのである。
こうした状況下では、会社を辞める可能性を前提に置きながら、自身のキャリアを考えるのも当然のことである。若手社員が会社を辞めるのは、彼ら自身のキャリアを守るための選択でもあるのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら