スタートアップ期に陥りやすい3つの症例
前回お伝えした通り、オンボーディングを通じた「一体化」には5~10年程度の時間がかかる。今回から、入社1~3年目、3~5年目、5〜7年目に期間を分けて、オンボーディングのポイントをお伝えしていきたい。
まず入社1~3年目の「スタートアップ期」は、慣れない言葉や慣習など、組織・仕事の文化になじみきれていない時期といえる。その中で新入社員は、組織や仕事における自分の「役割」や「可能性」を見出そうともがいている。
第1回でお伝えした「個人人格と組織人格」の観点でいうなら、入社までの意思決定は個人人格が主導しているが、入社すると途端に組織人格が求められるようになる。社会人期間の短い新入社員は、組織人格としての「役割演技力」が身についていないので、もがき苦しむのは当然だ。
この時期は、「入社前の期待」と「入社後の現実」のギャップが離職原因になることが多い。要は「思っていたのと違った」というわけだ。このような前提を踏まえてスタートアップ期の離職へと至るまでによくある、新入社員の心境変化を見ていく。
スタートアップ期の新入社員は、個人人格において以下の3つの「症例」に陥りやすい。
仕事に意味(Meaning)を感じることができず、やる気を喪失している状態である。「やりたいことと違う……」という心の声が大きくなるのが1つ目の症例だ。
就職活動では事業や仕事に魅力を感じ、面接では「入社したらやりたいこと」を力強く語った。内定を勝ち取り、期待を胸に入社したものの、実際に働いてみると、思っていたほど仕事が面白くない。この状態が続くと、職場や仕事から逃げたいと考えるようになる。
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