多くの新入社員は、学生時代に多かれ少なかれ自分なりの成功体験を積み重ねている。しかし、社会人になって仕事の難しさや自分の至らなさに直面すると、これまでの自信は打ち砕かれ、「自分はこの会社でやっていけるのか……」と思い悩むようになる。
特に、この症状に陥りやすいのが、新しい仕事を任されたときだ。初めての仕事であれば、失敗するのも無理はないが、失敗を上司から指摘されると、ますます自信を失っていく。
Power不足に陥っている新入社員が、初期段階で発するアラートが「仕事の拒否」だ。失敗が続くと自信を失い、「私にはこの仕事は無理です」と仕事を選り好みするようになる。
仕事を拒否されても、会社組織である以上、上司がある程度強制的に仕事を頼まざるを得ないケースもある。しかし、こうした状態が続くと、新入社員は「虐げられている」と感じ、嫌気が差して退職してしまう。
部下に成功体験を重ねてもらうには?
このように、スタートアップ期にある新入社員は慣れない環境でもがき苦しんでいる。この時期を乗り越えるためには、組織人格で役割を演じることによって成功体験を重ねるプロセスが欠かせない。
「できた→褒められた→面白い」という体験を繰り返すことで、3つの症例から解放されていくのだ。
筆者は、この体験を「Meaning」「Value」「Power」の頭文字を取って「MVP体験」と呼んでいる。「MVP」というと、華々しい成果をあげなければならないように聞こえるかもしれないが、ここで言う「MVP体験」は「自分で自分を褒めたくなるような成功体験」と捉えていただきたい。
スタートアップ期の新入社員に、MVP体験を重ねてもらうためにはどうしたらいいだろうか。上司に心がけてほしいポイントを3つ紹介したい。
まずは、「できた」という実感を持ってもらうことが大切だ。無理に仕事のハードルを上げず「小さな仕事を任せて、やりきったら褒める」を繰り返していこう。そのためには、仕事を細分化するタスクマネジメントと、即時にフィードバックする仕組みづくりが必要になる。
次に、できたことに対して「褒められた」と思ってもらうようにする。分かりやすい成果をあげた人を褒めるのは簡単だが、新入社員は裏方業務が多く、スポットライトが当たりにくい。
だからこそ、上司には「縁の下」に目を向け、目立ちにくい行動にスポットライトを当てる意識が求められる。業務のスピードアップやミスの減少など、さまざまな評価ポイントを用意して新入社員を褒めるようにしたい。
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