この症例に陥っているときは、仕事内容にミスマッチを感じるだけでなく、上司や同僚との人間関係がうまくいっていない場合も少なくない。
気の合う仲間とだけ付き合っていればよかった学生時代と違い、社会人になると組織人格としての役割演技力を求められるようになる。このシフトがうまくできず、個人人格と相いれない振る舞いを求められることに辟易(へきえき)としている新入社員は多いはずだ。
Meaning不足に陥っている新入社員が、初期段階で発するアラートが「職場の異動希望」だ。
上司からすれば「あと1年くらい踏ん張っていれば、仕事が面白くなってくるぞ」と言いたいところだが、Z世代と言われる昨今の新入社員は「タイパ重視」と言われることも多く、短い時間でも成果や満足を得ることを求める傾向にある。
「1年も我慢するぐらいなら、他の会社に行ったほうがいい」と転職を選ぶ人は少なくない。
評価不足と力量不足の「症例」とは?
仕事の評価(Value)に対する納得感がないために、やる気を喪失している状態である。心の中で、「もっと評価されると思ってたのに……」という不満が大きくなるのが2つ目の症例だ。
就職活動で内定をもらうと、内定先企業の先輩社員からあの手この手で決断を迫られる。「君なら絶対に活躍できる」と声をかけられることも多いだろう。
こうして、自信満々で入社したものの、自分が思っていたほど評価されないという現実に直面する。特に他のメンバーが褒められたり認められたりしているのを目の当たりにすると、自分は相対的に認められていないと感じるものだ。
人は周囲からの承認を得たがる生き物である。Z世代も同様で、仕事において「自分を認めてほしい」という欲求を持っている。それゆえ、「褒められたい」「評価されたい」という欲求が満たされないと、徐々に不平不満を溜め込んでいく。
Value不足に陥っている新入社員が、初期段階で発するアラートが「評価への不満」だ。「自分の働きを見てくれていない」「正しく評価してもらえない」といった不満を表すようになる。
上司としては、きちんと見て、正当に評価しているつもりでも、本人は自己認知と他者認知のギャップにさいなまれる。この状態が続くと、「自分にはもっと活躍できる場所があるはずだ」と考え、転職という決断に至る。
力量(Power)が追いついていないために、やる気を喪失している状態である。心の中で、「ついていけない……」という不安が日に日に募るのが3つ目の症例だ。
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