インフレによって保険金などのコストが増大する中で、これまで貯め込んできた政策保有株の放出によって、2023年度の利益を底上げした損保業界。その構図は24年度以降も当面続きそうだ。
日本損害保険協会の「ファクトブック2024」によると、損保業界(会員会社29社)の売り上げに相当する元受正味保険料は、2023年度で9兆9178億円と前の年度に比べて0.4%の微減となった。
減少は3年ぶりで、その要因は火災保険料収入の減少だ。22年10月にそれまで最長10年だった契約期間を5年に短縮しており、その直前に駆け込み需要が発生。その反動で火災保険料収入が、前年度比3.1%減少したことが響いた。
では、損保の費用面はどうだったのか。正味支払保険金(再保険からの回収金を除いた金額)を見ると、5兆3300億円で1.0%減少したものの、22年度と同様に高水準だった。
費用が膨らんでいる要因は、保険金全体の半分近くを占める自動車保険の支払いが、同8.9%も増えたことにある。
交通事故の件数は年間30万件で大きくは増えていないものの、インフレによって修理に要する自動車部品のほか、修理工賃単価(レバーレート)といった費用が上昇したことが響いた。
政策保有株の合計額は大手4社で8.9兆円
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