保険だけではない!「資産形成」ワンストップ支援 NISA、iDeCo…アドバイザーの育成にも注力

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生命保険各社は資産形成サービスにも注力 (写真:イメージマート/aflo)
生命保険会社、損害保険会社問わず、「社会課題解決」が大きなテーマになっている。「週刊東洋経済」の臨時増刊「生保・損保特集号」は、保険会社の生き残りの条件となった社会課題解決への各社の取り組みをリポート。
さらに各社トップへのインタビューや、資産形成サービス、ヘルスケア、AI・テクノロジーなど最新の動きも網羅した。その誌面から、注目記事をお届けする。

資産形成サポートに注力する保険各社

保険会社のサービス領域は資産形成のサポートにも拡大している。「保険離れ」が指摘される若者層の関心も高い。

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2024年4月に東京・大阪に「ファイナンシャル・オフィス」を設置し、高度な金融リテラシーを持つ人材の育成や金融商品の販売手法の構築、新たなマーケットの創出を進めているのは住友生命だ。多様な資産形成ニーズに応えるため、保険以外の領域を含めた金融リテラシーを高め、総合的な金融コンサルティングを通じた顧客のファイナンシャル・ウェルビーイングへ貢献するのが目的だ。

現在は入社4年目以降の総合職で構成された、全体で100人規模の態勢で運営している。

「研修に加え、職員が各自のニーズに合わせて、NISA(少額投資非課税制度)や外貨預金、個人年金などに加入している。各制度への理解を深め、自身のファイナンシャル・ウェルビーイング向上に努めたうえで、顧客に接している」(都心総括部都心総合金融サービス推進室長・増谷淳成氏)。

住友生命の東京での研修のもよう。運用など社内他部門の協力で金融知識を高める (写真:住友生命)

職域営業の顧客を対象にマネーセミナーを開催し、各制度や金融商品について解説し、具体的な提案につなげる。「資産形成について考えませんか、というアプローチができるようになり、アポイント率は上がった。お客様からは不十分だった情報の整理や知識の修正ができたという声が届いている」(増谷氏)。

同オフィスの職員はFP2級を取得しており、金融リテラシー検定なども受験。「社外セミナーにも参加するなど、積極的に知識を高めてもらっている」と話すのは、大阪総括部大阪総合金融サービス推進室長の田口忠弘氏。「セミナーや研修を受けて、貯蓄や投資の手段や目的について幅広く意識できるようになり、お客様ごとのニーズにお応えする機会が増えてきた」(田口氏)。

貯蓄性商品への加入や、配偶者をはじめ家族の紹介など、波及効果も大きい。職員も自社商品販売だけではなく、顧客の人生に寄り添い、金融知識の醸成をサポートしているような満足感が得られる。ファイナンシャル・オフィスを主要都市に広げることも視野に、30年には500人規模を目指す。顧客ニーズやライフイベントに合わせたアドバイス、金融商品のアドバイスができるよう努める。

第一生命の研修の様子。2026年度までに1700人規模まで拡大させる予定 (写真:第一生命)

保障・資産形成の両面から顧客の生涯設計コンサルティングを進めるため、23年4月に「資産形成・承継・相続アドバイザー」を創設したのは、第一生命だ。グループの商品のみならずNISA、iDeCoといった資産形成を支える教育を受けており、顧客ニーズに合わせたコンサルティング・提案を行う。全国に約450人がおり、26年度までに1700人規模にまで拡大させる方針だ。

「1カ月に及ぶ集中研修を段階的に受け、アドバイザーに移行する」。そう話すのは、資産形成・承継事業企画課ラインマネジャーの大原裕樹氏。保険に関しては自社内、投資に関してはアセットマネジメントOneから講師を招くなど、グループ各社のノウハウを活用し人材を育てる。

「研修前後でお客様へのアプローチ件数や保険の契約数、NISA、iDeCo口座の開設数は伸びている」(大原氏)。資産寿命の延伸にも貢献したいという。

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