豪雨からウイーンを守った治水システムの「凄さ」 欧州第二の大河はなぜ洪水を起こさなかったか

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ウィーン川とドナウ運河も通常の水位に戻った。

1000年に一度の大増水でも氾濫しなかったのには理由があった。ウィーン市街地には複数の地下貯水池と地下トンネルがあり、その容量の限界まで水を貯めつつ、微調整による放水が繰り返されていたのだ。そのため、川はギリギリ決壊しない水位を保ち続けた。

起こりえた被害を防ぐインフラ

ウィーンは、遊水池ノイエドナウの水門開放と、地下貯水池の適切な運用により、過去最悪ともなりえた水害からまぬがれたのだ。

多くの人にとって、今回の豪雨は、「思ったほどの被害をもたらさなかった」と感じられるかもしれない。しかし、その裏には、何百年と積み上げられた治水テクノロジーとインフラ、そしてそれを運用する人々の手があった。

ドナウ運河
ドナウ運河の船着き場。水没していたコンクリートの歩道が顔を出した。この地下に水を逃がすトンネルや貯水池がある(写真:筆者撮影)
御影 実 オーストリア・ウィーン在住ライター・ジャーナリスト

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みかげ みのる / Minoru Mikage

2004年よりオーストリア・ウィーン在住。国際機関勤務を経て、2011年よりオーストリアの社会、歴史、文化、時事情報に関する寄稿や監修を手掛け、ラジオ出演や取材協力も行う。掲載媒体は、「サライ.jp」(小学館)、『るるぶ』(JTBパブリッシング)、『ハプスブルク事典』(丸善出版)等。輸出輸入業経営。世界 100 カ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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