能登・仮設住宅浸水、ハザードマップの「想定外」 「地震が起きたあとの水害」リスクは全国各地で

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住宅地を流れていく川
豪雨の際は住宅地内の道路を水が川のように流れていった(9月26日、輪島市内で筆者撮影)
今年の元日、令和6年能登半島地震(以下「能登半島地震」)に見舞われた石川県・能登半島北部は、令和6年9月能登半島豪雨により再び大きな被害を受けた。前記事でも述べたように、ようやく復興の兆しがあった矢先、人々の心を折る深刻な被害だった。現地調査を行った筆者が、ハザードマップの有効性はどうだったのかを検証する。
【前の記事】:「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ

仮設住宅における浸水被害の原因は?

能登半島地震では多くの家屋が倒壊などの被害にあったため、急ピッチで仮設住宅を建設、入居が進んでいた。

ところが石川県によると、今回の豪雨で石川県輪島市・珠洲市にある6カ所の仮設住宅団地が床上浸水の被害に見舞われた。そのうち輪島市街地にあった4カ所について、筆者は各地の被害状況とハザードマップとの関連性の調査・検証を実施した。

下図は仮設住宅の位置をハザードマップに重ね合わせてみたものだ。赤字で示した仮設住宅が、床上浸水の被害があった仮設住宅団地名である。

ニュースなどで「大型店舗の近隣にある仮設住宅」としてよく報道されていたのが「宅田町第2」という仮設住宅である。すぐ西側に「宅田町第3」がある。これらの場所では床上30cm近くの浸水が確認された。

浸水被害があった避難所とハザードマップ、浸水経路の関係
浸水被害があった仮設住宅とハザードマップ、浸水経路の関係:重ねるハザードマップ(洪水・土砂災害マップを表示)に加筆(画像:筆者作成)

同じ地域の南側に、「山岸町第2」がある。こちらは「床上ギリギリ」の浸水が確認された。

この近辺を「洪水ハザードマップ」で見ると、東側にある河原田川からの浸水を想定して色がついている。しかし今回の豪雨で、最も山側にある「山岸町第2」に押し寄せた水は、南西側の山を流れる小さな河川から来ていた。

この小さな川には暗渠(あんきょ)となっている部分がある。暗渠とは、地下に埋設したり、ふたをしたりした水路のこと。今回の豪雨では、その暗渠が土砂で埋まっていることが確認され、行き場を失った水が外へあふれ出てしまったとみられる。

【画像・写真】「比較的安全な場所はどこか?」検証した結果など
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