能登・仮設住宅浸水、ハザードマップの「想定外」 「地震が起きたあとの水害」リスクは全国各地で

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しかし、輪島市ではこの条件の場所は限られる。市内はすでにハザードマップの色がついているところも多く、それ以外にも山側からの河川の氾濫も想定される状況にある。

輪島市内の台地域は、下図でオレンジ色の場所が台地になる。台地で、かつ平坦地と言えば、緑色の線で囲った市役所南方、旧輪島中(上野台中)付近の台地だろうか。

輪島市街で災害リスクが低いとみられる場所は?
輪島市街で災害リスクが低いとみられる場所はどこか、検証してみた(画像:筆者作成)

この場所にも仮設住宅があるが、外観をみたところ氾濫や土砂災害などの影響もみられなかった。現在大きな道路を作っているようであるが、ぜひ貴重な「災害リスクの低い地域」として活用が進むことを願う。

この台地の南側、さらに山側にある気勝平町も傾斜がある斜面の造成地で、盛土地では切盛造成による地震被害は想定されるが、山に近い場所を除けば土砂災害、水害の被害は限られるだろう。

ハザードマップの「想定外」も頭に入れて

このような事例は能登半島だけに限るものではなく、大きな地震の後、その復旧が進まない段階で水害に見舞われる、というケースはどこでも起きうる。

首都圏でも、首都直下地震で堤防などがダメージを受けたあとに豪雨により川の水位が高くなった場合、堤防が決壊等することで甚大な被害を受ける可能性がある。最悪のケースは「地震のみ・豪雨のみ、ではない」という意識を持つことが大切だ。

現状では少なくともハザードマップを参考にするしかないが、輪島市の例だけでみてもハザードマップには「想定外」が発生するのがよくわかる。

災害リスク情報に加えて、それ以上の個々の世帯の状況に寄り添った備えの優先度から、命を失わないため、怪我をしないため、次に災害後にも変わらず生活できるための備えについて、体系的にアドバイスなどができる仕組みが必要な段階にあるように考えている。

【画像・写真】「比較的安全な場所はどこか?」検証した結果など

【前の記事】:「地震と豪雨」能登半島ダブルパンチの深刻さ

横山 芳春 だいち災害リスク研究所 所長・地盤災害ドクター

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よこやま よしはる / Yoshiharu Yokoyama

地形と地質、地盤災害の専門家。早稲田大学大学院理工学研究科博士課程を修了、関東平野(茨城県南部全域の常陸台地)の地形・地質のなりたちに関する博士論文で博士(理学)の学位を取得。早稲田大学理工学総合研究センター勤務ののち、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門(旧・通産省工業技術院 地質調査所)などで研究に従事。現在は、さくら事務所が運営するシンクタンクだいち災害リスク研究所所長として、災害が起きた際には速やかに現地入りして被害を調査。地盤災害のプロフェッショナルとして活動している。

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