能登・仮設住宅浸水、ハザードマップの「想定外」 「地震が起きたあとの水害」リスクは全国各地で
そのため、輪島市街地で床上浸水があった仮設住宅の4カ所については、いずれもハザードマップの作成対象となっている河川が氾濫したものではなく、ハザードマップで想定されていない河川の氾濫によるものと考えられることから、すべて「×(不的中)」であると評価した。
一般的に安全な場所は「高台の台地にある平坦地」
輪島市街の浸水被害でみられた事例から、今後、同様の被害を防ぐ方法について考えてみたい。
そもそも被害があった輪島市は、そもそも急峻な山がちで低地が少ないエリア。低地は水害、山側は土砂災害のリスクが高い地域であった。
さらに、能登半島地震によって山側で土砂崩落や堆積などが発生したことで、その後の豪雨によって低地側で氾濫や土砂流出の被害が拡大したものとみられる。
輪島市街地において筆者が調査で確認した範囲では、洪水ハザードマップで想定していた平野を流れる河原田川の氾濫による影響は、輪島市役所周辺などの限定的だった。
一方、住宅の流出や各地仮設住宅の浸水被害をもたらしたのは、ハザードマップで想定されていない小河川の氾濫によるものだった。
これらのことから「ハザードマップで色がついていない場所でも注意」ということが改めて明らかになった。水害については、洪水ハザードマップがあっても、中小河川の氾濫や内水氾濫は想定されていない場合があることを知っておいてほしい。
河川沿いの低地だけではなく、高台と思われている地域でも周囲より低い場所では浸水に注意が必要だ。そしてハザードマップがない小さな川であっても、特に狭い谷の部分や大きな川の合流点付近は、床上浸水以上の被害を受ける可能性があることを頭に入れておく必要がありそうだ。
土砂災害ハザードマップも同様だ。周囲にがけや斜面がある場合、「土砂災害警戒区域(急傾斜地の崩壊)」の指定基準となる「傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域」に満たない角度や高さでも、崩れてくることがある。
特に、地震などによって山側の地盤(盛土地盤の可能性あり)が大きく崩落などしている場所では、豪雨によって土砂流出が発生する可能性があるので警戒したい。
従来は土砂災害が警戒されていない地域で、急傾斜地崩壊や土石流のような現象が起こることがあった。地震で被害が大きかった場所では、今後同様のケースが起きると想定し、対策と注意が必要になるだろう。
なお、一般的に安全な場所はどこかというと、セオリーからいえば川沿いの低地や傾斜が大きい山地ではなく、高台の台地にある平坦地だ。首都圏では東京都内西部の武蔵野台地、埼玉県の大宮台地、千葉県の下総台地などが該当する。
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