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「本格的な復旧までは、急いでも3年程度かかる」。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故について、県が設置した復旧工法検討委員会の委員長を務める日本大学の森田弘昭教授(下水道工学)はこのような見解を示した。
事故現場では現在、現場の上流と下流をバイパス管(仮配水管)でつなぎ、迂回する工事が進められている。具体的には、現場付近のマンホールから汚水をポンプでくみ上げ、約550メートル下流側にあるマンホールから放流。その間にバイパス管を設置する。そのうえでポンプでくみ上げた水をバイパス管に入れ、約100メートル下流の下水道本管に合流させる。この工事に約3カ月かかるという。
しかし、これはあくまでも暫定的な対応にすぎない。本格的な復旧のためには下水道管を地下深くに設置することになり(現状地下約10メートルの位置に敷設されている)、工事のための地質地盤の調査も必要になる。
急流の中で工事をするようなもの
埼玉県環境科学国際センターがまとめた「埼玉県地質地盤資料集2022年度版」によると、現場近くの地質は主に砂やシルトで構成されている。砂は粒が比較的大きく、粒同士の隙間が多いため、水はけはよいが崩れやすい。シルトは砂より粒が細かく、水分を含みやすいため、地盤としては軟弱で、圧縮や沈下が起こりやすい。
その結果、地盤の硬軟を表すN値も低くなっている。N値が5以上であれば一般住宅の建築は可能とされているが、今回の事故現場付近はそれ以下の数値の地点が多く、こうした軟らかい地盤では重機が入れず、工事は困難になることが予想される。
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