ドナウ川はドイツ南部に水源をもち、オーストリア、ハンガリー、ルーマニアなど中欧・東欧10カ国以上を通って黒海に注ぐ、ヨーロッパで2番目に長い大河だ。
中欧の歴史は、ドナウの氾濫の歴史だ。
何度も洪水に苦しめられてきたウィーンでは、19世紀後半にハプスブルク家の大改修により、蛇行していたドナウ川は直線に近くなった。1970~1980年代には、本流と並行した2本目の川「ノイエドナウ(新ドナウ)」を掘り、幅250m長さ21kmの細長い人工島を建設する大工事が行われた。
「世界初の洪水防止策」と賞賛
ドナウ川を縦に2つに割り、片方の川の入り口に水門を設けることで、水がせき止められたノイエドナウと、本流を分けたのだ。雪解け水や上流の降雨などで水位が上がると、水門を開放して洪水を防ぐ仕組みだ。
この治水工事は、国際連合人間居住計画(UN-HABITAT)により「真に多目的で完全に持続可能な、世界初の洪水防止策」と称賛された。
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