豪雨からウイーンを守った治水システムの「凄さ」 欧州第二の大河はなぜ洪水を起こさなかったか

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大雨と強風が予報されていた9月13日、筆者はウィーン市街地にいた。日本では気温が30℃を軽く超えた日だが、ウィーンは8℃で風も強く、コートとレインウェアを着て長靴を履いた。とにかく寒く、強風で傘は使い物にならない。

ウィーン市街地
豪雨初日のウィーン市街地。人影はまばらだ(写真:筆者撮影)

ウィーン市街地の「嵐の前」

この日は豪雨初日。まだ川の水位は上がっていないが、市街地の一部はすでに浸水し、回り道をしなければ通り抜けられない箇所もあった。アルプスでは雨ではなく、大雪が降っていると聞いた。

夜には雨脚が強まった。駅には乗客の姿もほとんどなく、金曜日の夜としては異様な光景だ。

週末も容赦なく豪雨は続く。市からは「不要不急の外出は避けるように」と通達があり、ウィーン市の周りを取り囲むニーダーエースタライヒ州の被害が報じられるようになった。各地のダムの貯水量が上限に達し、川にあふれ出し、近隣住民が避難する様子も報道された。

多くのウィーン人は自宅に引きこもり、もしものときに備えて買い出しや備蓄をしつつ、ドナウ川の動向に注目していた。

ウィーン・フォルクスオーパー 駅
人影が少ない夜のウィーン・フォルクスオーパー駅。オペラ座が近く、普段は劇場帰りの客でにぎわう(写真:筆者撮影)
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