夫を試してしまう自分をどう抑えればいいか 大切な人を、どうしても傷つけてしまう

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私も病名を最初に打ち明けられた者として、随分親身になってサポートやフォローをしましたが、最後は佐山さんからさんざんなことを言われました。私の次に彼の槍玉に上がったのも、会社で唯一彼に親身になっていた彼の先輩でした。

この障害にもいろいろタイプがあるようで、対人関係に過敏になるという症状もあるようですね。松田様もこのタイプかもしれません。他人から拒絶されることへの過敏さが逆の行動に出て、試すことで自分の立ち位置を確認したくなるのでしょうか(素人がそこまで推測して、またどこかからお叱りを受けそうですが)。

躁状態がそうさせているとわかっていても、気分は悪いものです。彼の身近にいた人は、彼から遠ざかって行きました。佐山さんは人を試すのではなくて、いきなり喧嘩を売ってくるのですが、身近な人を遠ざける行為という点では、あなたの悩みと似ていると感じました。

症状とうまく付き合うには、家族の理解が欠かせない

「人を試しそうになったとき、ひとりで軌道修正できる方法」をお尋ねですが、もしこれが、この障害の癖のひとつでしたら、あなたひとりの気持ちの持ちようで、どうにかなるものではありません。

精神科医で「どくとるマンボウ航海記」などで有名な作家の北杜夫さんは、この障害者であることを、ユーモラスなエッセイなどで公表され、この病を有名にしました。文章にすればユーモラスにも表現できますが、この障害を理解しているご家族にとっても、壮絶な闘いの日々でした。

あなたは義母や義姉が、正確に貴女の障害をご存じないであろうことを、気にしておられます。この障害を理解している家族でも、その対応は大変なのに、これは当然です。そのことがあなたに余計なストレスを強いているものとお察しいたします。

病気や治療に対する正しい認識を、ご家族が共有することは、この障害の治療では欠かせません。あなたは精神療法のひとつとして、否定的な考えや行動になるきっかけを知り、その受け取り方を変えられるような療法を受けられたと思います。そんな事情を、ご家族も共有することが重要です。

この障害を家族が正しく認識できるよう、家族も一緒に専門家の話を聞くよう求められますが、ご主人は同行しておられますか?同時に北杜夫さんのお嬢さんの斎藤由香さんが書かれた「パパは楽しい躁うつ病」などの本を、まずご主人に読んでもらいましょう。

北氏は躁状態の時は家族を追い出したり、株で大儲けしようと大借金して破産したり、とんでもない暴君に変身します。この極端なケースに比べればあなたの障害など、ご主人には障害にさえ見えなくなりそうですが、それが目的ではありません。ご主人が、家族の正しい認識がいかに大切かを、理解される一助になると思うのです。

そして義母をはじめとして周囲の方に、貴女の障害をオープンにすることが、あなたの精神的な負担を軽くし、治療上も重要であることを、ご主人に理解してもらうことが、第一歩です。

そしてご自身も、先輩患者のお話を聞く等の精神療法にも、積極的に参加しましょう。人を試す行為は、言い換えれば、ご自身に自信がないのも一因ではないでしょうか。このことに対するよい話を聞きました。

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