「博多一風堂」は豚骨特有の臭みを抑えながら濃厚で旨味の強いスープを仕上げ、木製の看板や手染めののれん、木調の内装や店内にBGMとして流れるジャズなど、女性でも入りやすい雰囲気の店づくりで、博多豚骨ラーメンのファンを大きく増やしたお店として知られる。
2008年にはニューヨークに進出し、流通を変え、ラーメン店が海外に進出しやすい土壌を作り上げた。海外の豚骨ラーメンブームはそこからスタートしたといっても過言ではない。
「一蘭」は「味集中カウンター」が有名だ。客が座るカウンターとスタッフ通路の間に目隠し用のすだれをかけ、隣席との間にも仕切りを設けることで、個室のようなプライベート空間を作り、周りを気にせずにラーメンを楽しめるのが好評だ。
どちらのチェーンにも共通することが、豚骨の熟成臭を抑えているということだ。豚骨ラーメンの独特の臭みが苦手という声は大きく、できるだけ臭みを抑える方向で博多豚骨ラーメンは全国に広がってきた。
「クサウマ」系の豚骨ラーメン店が広がらない理由
一方で、豚骨ラーメンはその熟成臭があってこそ魅力というファンも多く、「クサウマ」系の豚骨ラーメン店は根強い人気がある。
チェーン店を中心に海外にも広がる豚骨ラーメンだが、この本場感あふれるクサウマ系のお店はなかなか広がらない。都内で食べられるお店もほんの一握りで、豚骨人気とは裏腹、貴重な存在となっている。これだけ豚骨ラーメン人気が全盛のなか、なぜ本場っぽい豚骨ラーメンは広がらないのだろうか。
理由は、大きく分けて以下の4つだ。
(2)家系ラーメンに顧客を奪われている
(3)技術の習得が難しい
(4)「博多豚骨ラーメンは安い」というイメージ
それぞれ、店主たちの声を交えながら、順を追って解説していこう。
(1)物件取得のハードルの高さ
東京・武蔵境に「きら星」という豚骨ラーメンの名店があった。クサウマ系の豚骨の極みともいえるお店で、年間アワード『TRYラーメン大賞』の常連だった。
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