「開成で落ちこぼれ」通信制に進学した彼の逆転劇 燃え尽き症候群で、先取り学習についていけず

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「小学生の低学年からずっと勉強を続けていた反動で、もう机の前に座りたくない、と思うようになってしまいました。学校が終わってから寝るまでの時間を、オンラインゲームや動画を見て過ごしていました。中学受験を応援してくれていた、母親には申し訳ない、とずっと思っていました」と笹岡君は当時を振り返ります。

笹岡君は中学校2年生の段階で、校内順位が下位10%まで落ち込みました。周りから「できないヤツ」と思われていると感じた笹岡君。開成で生活することに耐えられなくなり、通信制の高校に進学しました。

超進学校は優秀層にとっては、どこまでも実力を伸ばせます。その一方で入学後の最初の段階でつまずいてしまった生徒にとっては、とても過酷な環境です。

先取り学習でついていけなくなる

例えば中高一貫校では、一般的には高校で習うような内容を中学の授業でも触れるなど、いわゆる「先取り学習」をしています。そのため、授業は信じられないような速度で進むのです。ついていけなくなったら最後、先生が話していることの意味がわからないという状態に陥ってしまいます。

学校によっては、中学生までで基礎を固めて、高校1年生からは東大や京大、早慶など難関大の過去問の演習が授業の中心を占めることもあるようです。

さらに中高一貫校に対応している塾や予備校では、学校よりも早いペースで授業が進んでいきます。学校の勉強についていけない子が、塾の授業についていくのは難しいでしょう。

中高一貫校の難関校に合格したとしても、授業についていけない場合は、大学受験で全落ちして浪人するケースもあるのです。

私が知っている中でも、名門中高一貫校に進学したにもかかわらず、学校の勉強についていけず、その中高出身者が進学しないようなレベルの大学に進学するケースも多々あります。

こうした上位中高一貫校で落ちこぼれてしまった生徒の進路の選択肢の1つとして考えられるのが、推薦入試です。

現在推薦入試の1つである総合型選抜入試(旧AO入試)は「学校の成績が必要ない」ケースが増えてきています。つまり、学校の成績が低い生徒でも推薦入試の道は開けており、元の学力が高く知的好奇心が強い傾向がある進学校の生徒は、この方式がマッチするケースもあります。

開成中学で落ちこぼれてしまい、高校からは通信制に移った笹岡君も、推薦入試で早稲田大学の合格をつかむことができました。

開成 推薦 通信制高校
早稲田大学(写真:route134 / PIXTA)
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