リベラルが勝てない要因は「脳の仕組み」にある 人間の脳は加齢とともに「保守化」していく

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ニュースなどで見る、いわゆる「キレる老人」を典型的なパターンとして思い描いていただけるとわかりやすいかもしれません。老人が相手に有無を言わせず、自分の倫理だけを信じて、直情径行的に行動してしまうのは、前頭葉の背外側前頭前野が衰えているからかもしれません。

一般に、加齢とともに思考が保守化すると言われますが、同じ理由で説明できます。実際は、脳が老化したから保守化したということが疑われるのです。

ここで言う保守化は、政治思想的な保守という意味ではなく、自分が元々持っていた思想の傾向がより純化され、それ以外の意見は自動的に棄却される確証バイアスが働いて、さらに思考が硬直化していく、といったイメージです。

老化とともに、自らの所属している集団の論理しか受け付けなくなってしまうのです。

「理性」は「直感」には勝てない

思想的な保守とリベラルの話も少ししておきましょう。

脳科学的に見ると、理性と直感が対立すると、ほとんどの場合、理性が負けるようになっています。これはリベラルが保守に勝つことが難しい理由でもあります。もっと身近な例で言うと、ダイエットがなかなか成功しないというのは、これと同じ構図によるものです。

保守の人は安全志向で、自分が得てきたこれまでの成功体験を信頼し、そこから大きく外れることなく生きる方がより賢い(安全だ)と考えています。安全確実な方法をより価値が高いとし、優先する慎重派と言ってもいいでしょう。

一方、リベラルの人たちは、すでに存在している確実なパラダイムに対して、常により新しい別の選択肢がないかを考え続け、ロジックを更新していこうとします。そして、そうした行為自体が人間としてあるべき正しい姿だと考える傾向が強いと言えます。

この両者は、脳科学におけるいわゆる「ボトムアップ」と「トップダウン」のプロセスのせめぎ合いとも言えます。

同様の言い回しは、経営や組織論にもありますが、そこにおける用語と混同しないように注意してください。脳科学では、前頭前野が決定したことに認知的に従うことをトップダウンと呼びます。前頭前野でのコントロールによる「ダイエットすべき」、あるいは「リベラルであるべき」という思考は、トップダウンによるものです。

しかし、トップダウン的思考を行ったとき、実は後から振り返ると、意外に賢い選択がなされていなかった、ということも多いのです。よくありがちな例はダイエットとリバウンドの関係です。

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