株主に「経営陣退陣」を迫られた2社が残した宿題 主導権は会社側が確保するも"一件落着"ならず

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ダイドーの会長になった山田氏も6月28日に会見し、「(株主提案の取締役は)必ずしもSCの意向を受けて活動するわけではないと聞いている。お持ちの知見をぶつけていただきたい」と話した。一方で「SCはなんら具体的な事業計画や方針を出してこなかった。それは取締役候補も同じだった。事業計画について意見がぶつかることはない」と、自らが主導して経営を進めることに意欲を示した。

ダイドーリミテッドの会長CEOに就いた山田政弘氏(左)ら
ダイドーリミテッドの会長CEOに就いた山田政弘氏(左)ら(記者撮影)

株主総会前、ダイドーとSCは激しい応酬を繰り広げてきた。ダイドーはSCが社長候補に提案する中山氏について、従業員が取締役就任に反対しているとの意見書を公開。「事業面や職場で大きな混乱を抱えることになる」とまで主張した。

当然、SC側も黙っていない。ダイドーが契約するコンサルの代表を務める山田氏について「株主との重大な利益相反の懸念がある」としたうえで、山田氏が策定に携わり、ダイドーが5月に初めて公表した中期経営計画も「実現性に疑問がある」と反論した。

新規事業で6億円の利益創出?

SCの株主提案をきっかけに、旧経営陣が退任に追い込まれたダイドー。新たな経営体制でも、こうした意見の対立を解消できなければ事業の立て直しはおぼつかない。

中計では、2027年3月期の営業利益15億円(前期実績は4.4億円の赤字)を目標に据えた。選択と集中によって既存のアパレル事業の収益改善を進め、足りない部分はM&Aなど新規事業で補うとする。その額は営業利益にして約6億円と、かなり挑戦的な数字だ。

これだけの利益を稼ぐ事業を買収するには、一般的に数十億円以上の資金が必要となる。保有不動産の売却で捻出するというが、最も資産価値の高い小田原のショッピングセンターについては売却検討から外している。M&Aそのものも山田氏は「買収候補のターゲットリストはできている。ある程度めどは立っている」と話すが、成功するかは未知数だ。

一方、ダイドーと同程度の数百億円という時価総額で、同じく株主から経営陣の交代を迫られていた証券会社がある。6月26日に株主総会が行われた東洋証券だ。

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