「株主はじめ多くの皆様に心よりお詫びします。一丸となって再発防止策に取り組んでおります」。阪急阪神ホールディングス(HD)が6月14日に開いた定時株主総会の冒頭、議長を務める角(すみ)和夫会長グループCEOはそう謝罪した。
今年の総会は「角ショック」とも言える波乱が起きた。阪急阪神HDが17日に関東財務局に提出した臨時報告書によると、角会長の再任に対する賛成率は57.45%にとどまった。昨年の90.46%から30ポイント超も下落した。
角会長の取締役再任への賛成率は、阪急阪神HDが2010年に開示して以降、一度も85%を割り込むことがなかった。取締役に選任・再任されるには、出席株主の過半数から賛成を得る必要がある。つまり、今回の57%はギリギリセーフでの再任だった。
「賛成率が低かったのは、さまざまな要因が影響している。厳しいご意見があるのは事実。信頼回復に向けて、努力していきます」。阪急阪神HDの広報担当者はこうコメントした。
宝塚歌劇団問題への批判の声
阪急阪神HDは「さまざまな要因」と説明するが、角会長への賛成率が低かったのは、同社のガバナンスに不安を抱く株主が多かったからにほかならない。
グループが運営する宝塚歌劇団では2023年9月に、上級生らによるパワーハラスメントを受けて俳優の死亡事故が起きた。阪急阪神HDは事故発生から半年が経過した今年3月28日に緊急会見を開き、パワハラを認め、角会長が遺族に直接謝罪したことを公表した。
一連の対応の遅れは、株主の経営陣に対する批判につながった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら