ーー保有していたダイドーリミテッド株を7月5日にすべて売却しました。ダイドーが今期1株5円としていた年間配当を今後3年間は100円に引き上げ、50億円程度の自己株買いも行うと発表した翌日のことです。
株価が急騰したのが理由だ。ダイドー株には1000円以上の価値があるはずだと言ってきたが、それがわれわれの思ったタイミング、やり方ではなく、実現してしまった。
われわれは業として投資運用業をやっている。投資家からお金を預かって運用している立場からすると売らざるをえない。投資家に対する受託者責任というものがある。
買収者やアクティビストを追い出すために大幅還元を急に発表する会社がある。ダイドーはまさにそういうことをした。
還元のタイミングとやり方が違う
ーー巨額の株主還元までは求めていなかった?
求めていたものではある。求めていたタイミング、やり方ではなかったということだ。
われわれが株主提案した取締役には次のように伝えていた。経営計画を改めて策定してアパレルビジネスの立て直しや投資計画を考え直してほしい。そのうえで不動産事業をこのまま続けるのかどうか見極めてほしい、と。
私は不動産を売ってほしいと思っていたが、新しい経営計画を数カ月後に見て、もう一度判断する予定だった。しっかりとした手順を踏んで、将来の投資にどれくらいお金が必要なのかを確認したうえで、株主還元をするようにしてほしいと思っていた。
2012年にストラテジックキャピタルを立ち上げてから、レピュテーション(世間からの評判)についてはすごく気にしている。事業のために残すべき現金を確認せずに全部(資産を)売り飛ばして、株主還元をさせるようなことは求めない。