「モノ屋敷の実家を片付け」嫌がる母と攻防の顛末 「絶対に捨てられない母」をどう説得したのか

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「生前整理というと、銀行や保険など多岐にわたる書類の整理を思い浮かべるかもしれませんが、もっとも負担になるのは家の片付けなんです。書類関係は電話一本で解決することもありますが、片付けに関しては身体を動かさないことには前に進まない。生前整理はまず使っていないモノを捨てていくことが最優先だと考えています」

“立派な大型家具”はゴミにしかならない

スタッフ4人で大型家具を次々と2階から外へ運び出していく。高齢者が住む家ほどしっかりとした高級家具が多くあるというが、そのほとんどが持ち主を離れた途端に価値を失ってしまう。

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「高度経済成長期以降、住宅設計において収納スペースの確保が重視されるようになりました。一方で、高齢者の方たちは家を借りたり買ったりしたら、同時に収納家具も揃えるのが当たり前でした。

それこそ団地の設計図を見ると、収納家具は自分たちで揃えることが前提の間取りになっています。

でも、立派に見える民芸家具や婚礼家具は、今はほとんど値がつかず、残念ながらゴミとして扱われます。捨てるのももったいないので、タダ同然の価格で海外の貿易に回しているのが実際のところです」

実家の片付け
立派な大型家具もほとんど値がつかないという(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

売りに出しても0円にしかならないのでとっておきたいという人もいれば、どうせ0円なら今のうちに捨ててしまおうと思う人もいる。

親の気質によって左右される面も大きいが、生前整理は子どもの思い通りにはならなくて当たり前だと覚えておきたい。

だからこそ、ゆっくり時間をかけながらよきタイミングが訪れるのを待つしかない。この親子の場合、入院によって母親が一時的にでも家を離れたことが皮肉にもきっかけとなったのだろう。

実家の片付け
多くのものであふれたキッチンも片付け(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
実家の片付け
一部を除いて家電や調理道具などをすべて処分し、スッキリとしたキッチンに(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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