「早く実家を何とかしたい」
50代の男性は、80代の母親が一人で暮らす実家の状況に長年頭を悩ませていた。明らかに不要なモノでも母は一向に捨てる素振りを見せないのだ。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
ゴミ屋敷の片付け・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直社長(以下、二見氏)が、生前整理における片付けの難しさと大切さの両側面を語った。
動画:息子「早く実家を何とかしたい」片付けを決意するたびに延期
2階全体が物置になってしまった
母親が一人で暮らす2階建ての一軒家。その2階には3つの部屋があるが、踊り場も含めて全体が物置のようになっている。そんな状態がもう何年も続いている。
生ゴミで汚れているわけではない。だが、不要品が詰め込まれた大量のダンボールが部屋に敷き詰められ、空間として機能していない。生活のほとんどが1階で完結しているためか、全体的にどこかホコリっぽい。
衣類、鞄、布団、草履、工具、大型家具――使っていないモノがどんどん1階から2階に移動していき、日常的に取り出している様子はない。
「もう、何が何かわからない。面白そうなものがあったら残しておいてください」
今回の依頼主である50代の息子がそう話す。
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