現場に入ったスタッフは総勢6名。2階には大型家具が目立つため、仕分けが2名に運び出しが4名の配置だ。部屋の隅に積み上がっている小さな箱を開けてみると、何十年も前のおもちゃが丁寧に中に詰められていた。ゴミを溜め込んでいるわけではない。使わなくなったモノまで大切に保管しているのだ。
依頼内容は、2階にあるモノの量を減らすというもの。1階はキッチン部分を片付けるだけで、基本的には現状維持となる。それには理由があった。
母の入院で事態が動いた
イーブイが見積もりにやってきたとき、家には母親が一人で暮らしていた。息子は5年前から実家の片付けを計画していて、これまで何度も別の片付け業者に見積もりの依頼をしてきた。しかし、いつも寸前のところで計画が止まってしまった。
「いざ見積もりをするとなると、母は『今日は体調が悪い』とか、『今日は暑いから業者の方に申し訳ない』とか、何かしらの理由をつけて先延ばしにするんです。そんな形でズルズルと5年が経ってしまいました」(息子)
そして、5年をかけてついに見積もりが完成。その際は母親も同席したが、作業日までの間にもともと優れなかった体調が急に悪化した。医者からは「即入院してください」と言われてしまったという。息子は片付けを続行するか悩んだ末、実行することにした。
「片付けは母が退院してからにしようとも思ったんですけど、それではまたズルズルと延期になってしまう。じっとしていても仕方がないので、思い切ってお願いすることにしたんです」(息子)
母親は実家の片付けに乗り気ではなかった。そのため、「1階部分には触らない」という条件で、片付けが行われることになったのだ。
今回の片付けは母親が高齢であることから、いわゆる「生前整理」に該当する。二見氏いわく、子が親に生前整理を促す場合は最後まで説得しきれないことも多く、むしろ説得できなくて当たり前だという。かくいう二見氏も、祖母の生前整理では大きな苦労を味わった一人だ。
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