変人だらけの"伸びる"会社は、こう作る! 「1+1=2」を、経営が社員に保証せよ

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「大切なのは、『1+1=2』が保証されていること。これは当たり前のようで意外と難しく、一般的に組織の論理で1+1が3やマイナス4に歪められてしまうことがしばしばあると思います。言い換えれば、正しいことが必ず通る環境を会社が整えることが重要なのです。

それがあれば、個人の意見が通らないときでも、自分の力が足りないからというのが明確です。それに対し、運とか派閥争いの要素が入ってくると、理不尽な社内環境になり、新橋の飲み屋で管を巻くという世界になってしまうわけです

土砂降りの雨の中暗雲の下にいるとしても、雲を突き抜けたら、本来は青空が広がっています。雲の上にも雲がある状態ではなく、雲の上に青空がある状態を、会社がきちんとつくらなければなりません。『1+1=2』が保証されていることこそ、JTの社風の特徴だと思います」

おかげでJTを去った社員が「辞めてみて始めてJTのよさがわかった」と、出戻るケースもよくあるという。

下ができるのは、せいぜい上の10分の1と思え

会社として、ここまで「水」のコンディションに気を配っている。最後は、各自がそこをどう泳ぎこなすかだ。社員自らが一歩踏み出し、“優秀な社員”がさらに上級の“変な社員”へと開花するトリガーは何なのだろう。米田さんは、こう考える。

「悪い意味で、下が“まとも”になるのは上の責任だと思います。人間は見える世界のことしか信用できないので、口でいくら上から『やりたいことをやって大丈夫』と言われても、本当にそうかどうかはわからない。結局、社員は皆上の人の背中を見ているのです。それも20年上とか30年上の人ではなくて、せいぜいひと回り。12年ぐらい上の人がどこまでやっているかです」

米田さんは、「近頃の若い者は……」などと若者論を説いている暇があったら、自らががんばる姿を見せることが必要だと言う。

「上の人は、下の人が自分と同じようにできると思わないことです。下はせいぜい、上の10分の1ができるかどうか。5までやって欲しいなら、上は50ぐらいの仕事をやらないと、信頼してもらえないのです」

魚は「こう泳ぐといい」と言葉で言われるより、リアルに先に泳ぐ魚の姿を見て泳ぎ方を覚えていくのである。

最後に、JTという水の中に飛び込んだ米田さん自身は、これまでのキャリアをどう振り返っているのか聞いてみた。

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