ネスレ、17万人の"コーヒー大使"を率いる男 オフィスで「バリスタ」が市民権を得るまで

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(撮影:今井康一)
「起業」という言葉は、起業家のためだけにあるものではない。「業(なりわい=仕事)を起こすこと」は、組織の中でもできる。いやそれどころか、新しいビジネスを生み出さなければならない組織人にこそ必要とされるアクションだろう。
さあ立ち上がれ組織人。今、あなたの立場で、業は起こせる。それも、上手にやれば大規模に。本連載では、会社をはじめとする「大組織」で、“変わり者”だと思われても“変えること”に挑み、新たな仕事をつくり出す「組織内変人」を紹介する。

 

ロボットのようにルーチン・ワークを繰り返す毎日。会社や上司は下積み経験が大切だと言うけれど、このまま苦行に耐えながら貴重な人生をすり減らしていくのだろうか……。

そんな悩みを抱える若手諸君、君は今「口だけで既存のやり方を否定する人」になるのか、「頭と体を使って新しいやり方を提案する人」になるのかの分岐点にいると言える。無論、リスクをとらずに先人の功績を批判するだけの人になっていいはずがない。

そこで今日は、小さな行動を積み重ねることで大きな変化を起こしてきた変人をご紹介しよう。

17万人を1つのチームに

おいしいコーヒーと笑顔を届けたい。ネスレ日本という企業と思いを共にし、無料で貸与された本格コーヒーマシンを通じて職場に「ネスカフェ」を提供する人たちがいる。その名も「ネスカフェ アンバサダー(大使)」。現在、全国におよそ17万人いるが、ネスレ日本は、2020年までにこれを50万人に拡大する目標を持っている。

企業と消費者が一体となって製品・サービスを供給する異例の取り組みは、2014年度の日本マーケティング大賞を受賞。ネスレ日本社長兼CEOの高岡浩三氏と共に、ネスカフェ アンバサダーという1つのチームをつくるプロジェクトを主導してきた人物が、今回の主役、津田匡保だ。

今やマスコミにも多数取り上げられ、ネスレ日本のこれらの取り組みについて目を輝かせながら話す津田さんだが、20年前の「あの出来事」がなければ、この場にいることはなかったと言う。

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