独特の喫茶店文化が根づく名古屋。保守的で変化を好まない土地柄と言われているが、そんな街に、東京に続々と誕生している新スタイルのコーヒーショップを出店したらどうなるのだろうか。
「誰も挑戦してこなかったのは、従来の喫茶店の存在が大きすぎると判断していたからだと思う」と、2014年8月にトランクコーヒーを名古屋市東区の高岳駅前にオープンした鈴木康夫さんは語る。
コーヒー先進国のデンマークで日本人初のバリスタに
鈴木さんは愛知県出身。学生時代と3年間の会社員時代を名古屋で過ごした後、ヨーロッパに渡り、コーヒー先進国と呼ばれる北欧デンマークのカフェで、日本人初のバリスタとなって修業を積んだ。
2012年にノルウェーのカフェ、フグレンが東京店をオープンするにあたり帰国。同店のバリスタとして2年間活躍した後、かつて会社の同僚だった田中聖仁さんに声を掛け、共同経営でトランクコーヒーを立ち上げた。
田中さんは当時、コーヒーに関してはまったくの素人だったが、鈴木さんはだからこそ一緒に仕事をしたいと考えた。
「コーヒー職人同士でお店作りをしても可能性が広がらない。ふたりでミクロな部分を攻めて世界を固めてしまうから、違う職種の人間が必要だった」
なぜ東京ではなく、故郷の名古屋に出店したのだろうか。
「名古屋の人は喫茶店代にお金をかける。統計でも名古屋市は、喫茶店に払う金額が岐阜市に次いで全国2位。それなら僕らのようなコーヒー店も、喫茶店文化と共存する余裕があるのではと考えました。地元になかった新しいスタイルなら、話題性があるので地方のメディアを通して情報発信することができる。また、おいしいコーヒーからつながるコミュニティで、街づくりにも貢献したい」
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