究極の「ダメサイト」を築いた男の、苦節10年 デイリーポータルZ"変集長"、林雄司の考え方

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「いつやめるの?」と言われ続けた男が、それでも継続にこだわった理由とは?(撮影:梅谷秀司)
「起業」という言葉は、起業家のためだけにあるものではない。「業(なりわい=仕事)を起こすこと」は、組織の中でもできる。いやそれどころか、新しいビジネスを生み出さなければならない組織人にこそ必要とされるアクションだろう。
さあ立ち上がれ組織人。今、あなたの立場で、業は起こせる。それも、上手にやれば大規模に。本連載では、会社をはじめとする「大組織」で、“変わり者”だと思われても“変えること”に挑み、新たな仕事をつくり出す「組織内変人」を紹介する。

 

「あの部署に行きたい!」……そう言っても、うまくはぐらかされる。「こんな仕事がしたい!」……そう言っても、まじめに取り合ってもらえない。結局は組織の言いなりで、ただ食っていくためだけにやりたくもない仕事を続けなければならないのだろうか……。

そんな毎日を送っているアナタ、ちょっと「NG」を食らったからといって、すぐに諦めることができてしまうような仕事は「本当に心の底からやりたい仕事」と言えないのではないだろうか。

そこで今日は、会社から許可されるかどうかなんてことを案ずる前に「言い出しっぺ」になって始めてしまい、その仕事をいつの間にか会社を代表するサービスにしてしまったツワモノを紹介しよう。

ぶっ飛びサイトの“変集長”

皆さんは「デイリーポータルZ」をご存知だろうか。仮面ライダーを思わせるネーミングのこのサイト、月間で1500万PV(ページビュー=閲覧数)を稼ぎ出す、非ニュース系では異例のオバケサイトだ。ここで取り上げられたネタがもとになっている書籍も複数出版されている。

中を覗いてみると、「ごぼうを50時間煮てみた」「納豆を10万回混ぜてみた」などと題された、不可思議な記事がてんこ盛り。ちなみに、ごぼうを50時間煮るとフルーティな味わいになり、納豆を10万回混ぜると風味はそのままでペースト状のものになるらしい。納豆ペーストはパンに塗ったらおいしいかもしれない。気になったらぜひやってみてほしい。

まったくどの記事もクレイジーだが、絶妙な脱力系ネタで読者をニンマリさせる。そんな不思議な魅力を持ったサイトを運営する編集長が、林雄司。編集長と言うよりも、変な記事を集めて配信する“変集長”だ。

ニフティという超まじめそうな組織において、林さんは一体どのような魔法を使ってこんなハチャメチャサイトを作ったのだろうか。

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