「上司が代わる度に毎回資料をつくり直して説明しましたし、そうでなくても、年度が変わる度に上司からサイトの存在意義を書けと言われる。そこを乗り切っても、結局ずっとチクチク言われるんですけどね。
やっと『やめろ』と言われなくなったのは3年ぐらい前です。それまでの10年間は『何でやってるんだ?』と言われ続けていたので、今認められているのは、それはそれで気持ちが悪いですが(笑)」
結果が出るか出ないかではなく、結果が出るまでやるのが林さんの流儀。まさに、粘り腰の勝利だった。かくして、デイリーポータルZはニフティの顔とも言えるサイトとなったのである。
常識のほかに道があると、気が楽になる
はっちゃけたサイトを手がけている編集長は、終始照れ隠しの様子だったが、インタビューが終盤になるにつれ、コンテンツを愛する「仕事人」としての一面を見せはじめた。
「個人のサイトも、デイリーポータルZも、サイト作りは本当に真面目にやりましたね。眠くて意識が飛ぶギリギリまで仕事をして、起きて2分くらいでまたパソコンに向かって仕事するという生活でした。
編集部員が増えた今でも、そういう日はあります。まあでも特別なことではなくて、みんな、そうしているのではないですか?」
ここまで努力してから、組織に文句を言っている人がどれだけいるだろうか。むしろここまでやれば、組織も個人に文句を言わなくなるのではないだろうか。もっとも、場合によっては、10年間耐え忍ばなければならないこともあるかもしれないのだが……(笑)。
「それでも、個人的には『こういうのもありなのか』というやり方をもっと見せたいと思ってます。納豆は1万回混ぜてもいいし、自撮り棒は5メートルにしてもいい。真面目とか、常識のほかに道があると思うと気が楽になるので、そういう雰囲気を増やして、世の中をダメにしていきたいと考えています」
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