「厳しすぎる販売ノルマ」を販売担当者に課した金融機関の悲惨な結果

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(写真:Titiwoot Weerawong/PIXTA)
ビジネスなどあらゆる現場で採用される「インセンティブ」。取引先や部下のモチベーションを上げ、結果として利益を増大させるための施策だが、その使い方を間違えるとインセンティブを提示した側の意思が正しく伝わらないどころか、提示者の意図の正反対の作用、時には大惨事をも引き起こすことがある。インセンティブが想定外のシグナル(信号)を発していたためだ。
インセンティブの多数の実例と、それを正しく効果的に構築するための極意とは何かを解き明かした、カリフォルニア大学大学院教授ウリ・ニーズィーによる著書『インセンティブが人を動かす』より、一部を抜粋・編集してお届けする。

私には、風変わりな趣味がある。それは、インセンティブがうまく働かなかった事例を集めることだ。これらの面白い逸話は、一般的に思われているよりも人々がはるかに創造的であることを示している。こうしたエピソードのいくつかを紹介する。あなたも私と同じく、残念ながらインセンティブの設計者たちが何度も同じ過ちを繰り返すことに気づくだろう──これは、適切に設定されたインセンティブがもたらす効果を考えると、非常にもったいないことだ。

ある銀行が引き起こした大惨事

最近、米大手金融サービス企業のウェルズ・ファーゴは同社のブランドマーケティングのために、「再建」キャンペーンと名付けた珍しい試みに取り組んだ。とはいえ、この銀行が自社を再建する必要があると感じた理由は、かなりつまらないものだ。2016年9月、同行の評判は大規模な不正行為に関するスキャンダルによって地に落ちた。この不正行為は、売上を増やすことを目的とした、不味(まず)いインセンティブの結果だった。

1997年、ウェルズ・ファーゴの当時のCEOジョン・コバセビッチは、顧客1人当たり平均8個の銀行商品を保有させるという目標を掲げた取り組みを開始した。これらの商品の販売担当者がこのノルマを達成した場合、昇給や昇進といった報酬が与えられる。単純明快で効果的なインセンティブのように思えるのではないだろうか? だが実際には、そうではなかった。

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