「厳しすぎる販売ノルマ」を販売担当者に課した金融機関の悲惨な結果
この銀行は、どこで間違ってしまったのだろうか? 量に対するインセンティブを設計する場合は、質をチェックするメカニズムを組み込む必要がある。それによって、2つの目標を達成できる。質の低い仕事を罰することで従業員にそれを避けようとさせることと、「会社は質を重視している」というシグナルを送ることだ。ウェルズ・ファーゴのケースでは、不正な口座をつくった従業員を見つけ出して罰する適切な監査システムを設けることで、これを達成できたかもしれない。
不正を防ぐために、企業がすぐにできること
監査や処罰は、不正行為へのインセンティブを減らす。この直接的な効果は、「抑止力」と呼ばれている。重要なのは、このような監査システムは、「経営陣は倫理の重要性についての建前的なミッション・ステートメントを掲げるだけではなく、誠実であることを本当に重視している」というシグナルを従業員に送ることだ。顧客の利益を守るために資源を投資することは、「私たちは顧客を大切にしている。顧客を守るためになら、お金を使うことを厭わない」という強いメッセージを送ることになる。
このシグナルは、同行が発信している公式なメッセージに沿ったものであり、職場の文化を変えられただろう。商品やサービスの販売量は減ったかもしれないが、その分、質は高くなっていたはずだ。つまり、従業員が開設した口座の数は減っただろうが、それらの口座はすべて本物で、役に立つものだっただろう。
ウェルズ・ファーゴはこのスキャンダルの件について、公に深く謝罪し、社内のインセンティブ・スキームをすべて廃止した。それ以来、私は時折コンサルティングを通して、今や銀行業界全体でインセンティブ・スキームが禁止されていることを知った。しかし、企業がインセンティブ・スキームをまったく使わなくなることは過剰反応であり、失うものも大きい。最初の段階で適切な監査メカニズムを導入して、量に対するインセンティブとうまくバランスを取っておけば、従業員に正しいシグナルを送ることができ、大惨事を免れることもできただろう。

















