負の感情は抱えたままでいい――漫画家・文筆家・画家ヤマザキマリが「失敗を恐れる時代」に伝えたいこと。挫折と「もうダメ」の、その先
たくさん挫折し、傷ついて自分だけの色彩を持つ
歌舞伎俳優の中村勘三郎(18代目)さんと交流がありました。彼は表現について「怒りや怨嗟(えんさ)や悲しみといったものがなければ、表現はできない」とおっしゃっていました。
要するに怒りや不満、不安、悲しみ、そういった負の感情が焚(た)きつけ材となって演技という表現に置き換えられる。かといって、そのエネルギーを使って演じる役柄は、恨みつらみが固まった悪代官とかそういうものばかりではなく、すごく明るいキャラだったり、おとぼけキャラだったりする場合もある。
どんな役柄でもうまく演じるためにも、重たかったりつらかったりする感情とたくさん向き合う必要があるということです。
今の若者は、動画や映画を見るときに2倍速にしたり、あらすじを先に知っておきたくなるそうですね。息子の友だちもそう。ネタバレになったらおもしろくないと言うと、ネタバレをしておいたほうが不安を抱えなくていいんだよと言われたそうです。
わかりますよ、予定調和じゃない動揺を避けたくなる気持ちは。でも、そうやって人間が本来つかさどっているはずのさまざまな感情を使わないままにしておくのはどうなんでしょうね。


















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