生物学者が歳をとってわかった「人生の意味」 人間にとって「自我」こそ唯一無二のものである

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脳の構造上、動物は「死」を怖がったりはしないという(写真:HIME&HINA/PIXTA)
生きている以上、いずれ誰もが直面する「死の恐怖」ですが、生物学者の池田清彦氏は、そうした恐怖は、ある「当たり前の事実」に目を向けることで乗り越えられるといいます。70歳を過ぎて池田氏が気づいたその事実とは、いったいどんなものなのでしょうか。
池田氏の著書『「頭がいい」に騙されるな』から、一部抜粋・編集して紹介します。

進化論に基づいた「最適な生き方」を考える

私は大学や大学院で生態学を学んでいた頃から進化論に興味があった。当時の進化論は「ネオダーウィニズム」が主流だった。これは「突然変異と自然選択」を進化の主な要因とする考え方である。

大学院の頃にリチャード・ドーキンスの提唱した「利己的遺伝子」の話を知って、その後に山梨大学で講師として教壇に立ったときも、なんとなく怪しい理論だと思ったけれども、主流の理論なので学生にはドーキンス流の進化論を教えていた。

しかし、しばらく経つと「ネオダーウィニズムは壮大な錯誤体系ではないか」と考えるようになった。

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